人気ブログランキング | 話題のタグを見る

石巻泥出しボランティアに参加

震災より、はや1ヶ月以上経過。


益子のお店は元のように戻り、気候が穏やかになるにつれ、お客様も出て来はじめました。
作家・窯元は少しづつ復旧を進めると共に、間近に迫る陶器市に向けて奮闘しております。

ツイッター御覧になってる方はお判りと思いますが、自分も何だか色々やってます(笑)
数日前、やっと製作らしい製作に戻りました。
でも、どう逆算しても陶器市に作り足すことは叶わず。ゴメンナサイ・・。



震災後バタバタしていた中、ある方のツイートで栃木のボランティア団体が、石巻へ日帰りの泥出しボランティア(以下、ボラ)を募っているのを知りました。



阪神大震災の時は高校3年生。
縁も知人もない当時の自分には、正直「対岸の火事」でした。

しかしこの震災で益子も大きな被害。現実を目の当たりに。
そこで「では、もっと被害の大きい東北はどんな状況なんだろう?」と、連日の報道や現地へ行った知人からの話も聞き、気になっていました・・。


そんなところにこの話。

素人OK、参加費¥3,000で往復バスが出る。(ボラ保険込、次回参加からは¥2,000)
後日、宇都宮で1時間ほどの報告会に参加が条件。
そして取り敢えずこの派遣は4月いっぱいとのこと。

現場を見てみたい・・。
不謹慎かもしれませんが、「やらない善より、やる偽善」

以前から災害ボラに登録講習していた義父も興味深々。
一日考えて、「行ってみよう。」と、義父と共に申し込み。



そして、

4/20 4:00am 県内外から参加者38名を乗せたバスが宇都宮を出発。

若い連中ばかりかと思いましたが、大半が年上、シニア世代も。しかも1人除いた全員初参加。
尚且つ約半分は女性!女性は強いなぁ〜。

北上するにつれ、自衛隊・機動隊・物資トラック・仮設住宅運搬トラックなど、物々しい雰囲気で、その数も多くなり、やや渋滞。
石巻泥出しボランティアに参加_e0152245_1251831.jpg


車中で仮眠・手持ち弁当を頬張り、10:00amに石巻専修大学のボラセンターに到着。
添乗員さんがボラ登録中に、カッパ・長靴に着替えて、名札を貼り、現場に入れるように準備。
石巻泥出しボランティアに参加_e0152245_0382358.jpg


そこから更にバス移動。
大学から旧北上川を超えて、石巻駅方面へ南下するのにはさらに渋滞。それだけ人手が向かっているということ。
そして津波被害が確認出来、徐々に目立ってきます・・。
石巻泥出しボランティアに参加_e0152245_1523632.jpg

石巻泥出しボランティアに参加_e0152245_1532433.jpg


そして、我々全員を委託されたボラ団体、め組JAPANの拠点広場に到着。
降り立つと、その匂いが津波の大きさを物語ります。
海から500m以上は離れているのですが、潮と埃の混じったような複雑な匂い。
この日は前日に雨が降ったので、普段とはまた感じ方が違うと思います。

38人は7班に別れ、め組のスタッフの引率で各家庭へと派遣されました。
石巻泥出しボランティアに参加_e0152245_38454.jpg


他の班は徒歩圏内でしたが、我が班は10分ほど車移動。トラック荷台に乗り込み、目的地へ。
道中の更に酷くなっていく風景は、切実に染み入ります。
石巻泥出しボランティアに参加_e0152245_3121598.jpg

石巻泥出しボランティアに参加_e0152245_1285018.jpg

石巻泥出しボランティアに参加_e0152245_1302471.jpg

石巻泥出しボランティアに参加_e0152245_1315622.jpg

石巻泥出しボランティアに参加_e0152245_2332990.jpg


派遣されたのは、石巻湾沿岸から400mのYさん宅。
石巻泥出しボランティアに参加_e0152245_2303794.jpg


この一体は1階天井付近までの浸水。
また地盤沈下のため満潮時には、庭先の道路まで浸水してしまう地区です。
未だ電気は通ってません。
これは干潮時。
石巻泥出しボランティアに参加_e0152245_2143315.jpg

石巻泥出しボランティアに参加_e0152245_11413590.jpg


Yさん宅は既に家財道具は外に出され、床上の泥は出されていました。

しかし、床下に膝下までの泥水が溜っているのが発覚。
大工さんと相談して床を剥がし、前日にYさんがポンプでおおよそ排泥。
残った泥を掻き出すのが我々の作業になりました。

泥出しボラは現地宅に伺うまで詳細作業内容はわからず、その場で家主の意向に沿うように作業します。まさか床下とはと思い、検討思案。

結局、チリトリで掬い、廃棄された毛布等で「雑巾がけ」の要領で吸い出す事に。

自分達6人が床下にほふく前進で入って泥を掬い出し、義父が毛布のカットや外に泥を出すなどのフォロー、Yさんが外の廃棄物から毛布を探し運ぶという役割分担。
石巻泥出しボランティアに参加_e0152245_2422962.jpg

石巻泥出しボランティアに参加_e0152245_2431714.jpg

石巻泥出しボランティアに参加_e0152245_2057356.jpg

Yさん宅は浜砂でしたが、旧北上川沿いの家は、川底のヘドロが入り込んでしまい、匂い・衛生面ともに厳しい状況のようです。



11時〜2時半までの限られた時間。当初、正直終わるかなぁ?と案じましたが、ペース考慮と人数配置、こんな時に自然に出て来る結束力と、皆の自発的な行動のおかげで、、、なんと終わりました。
すでに泥が掬い出されていたキッチンを除く、1階床下全部。


素人7人、団結してやれば出来る。

来た時、やや不安げだったYさんも、まさかの終了に喜んでおられました。


このツアー、「日帰りで何が出来るんだろうか?」という懸念も少しありましたが、吹っ飛びました。
例え数時間でも、数人が集めって、数件やれば、前進出来ます。
それに老若男女の素人作業には、無理しすぎない丁度良い時間かもしれません。
普段ガツガツ身体動かしてない人に、これ以上はハッキリ言ってバテます。


また30分のお昼休憩中、Yさんの奥様が気を使われて、紙コップでお茶やコーヒーを出して下さり、ボラなのですが・・折角なので美味しく頂戴しました。ありがとうございます。



ふと目をやると庭の片隅に泥だらけになった器が、発泡スチロールに入れられていました。
Yさんは器がお好きのようですが、東北は大きな窯業地がないため、器店のある塩竈まで買いに行かれるほど。
ボラとしてあまり出しゃばるのはどうかと思いましたが、いずれのために住所を頂戴しました。


最後に皆で復興へのガッツポーズ!
石巻泥出しボランティアに参加_e0152245_246489.jpg




復旧復興はまだまだ始まったばかり。
石巻は受け入れ体制が整ってますが、女川などはまだまだ手付かずのようです。

また他の班の話では、父母を失い沈痛な面持ちだったお宅で、未だ手付かずだった家財運び出し・床泥出しをして、最後泣きながら感謝の握手をされたと聞きました。

数時間のお手伝いでも気持ちが変えられることが出来れば、大きな励みになると思います。

また我々も、車中で被害が見えると驚愕してしまいましたが、数時間滞在して作業すると、そんな中でも人が活発に共に動き回っているのが感じられ、鼓舞されます。

依然厳しい状況は続きますが、この頑張ってらっしゃる姿を伺い知れたのが、一番心に染みました。

東北も、益子も、自分も、日本も、共に頑張りましょう。

行けて良かったです。



もし、このブログをご覧になって興味のある方は、自身が参加した栃木ボランティアネットワークへお問い合わせ下さい。連泊の派遣もあるそうです。

この日帰りボラ派遣は、どうやら5月以降も続きそうです。また自分も折を見て参加したいと思います。



このボラの内容を少しでも把握して、少しでも参加者が増えればと思い、一例参考のための参加レポートとして、長文になりました。
またこのレポート製作はYさんより許可を頂き、記載しております。

TV等の報道では悲惨な部分が強調されている感があり、恐怖心から現場へ足が遠のいてしまいがちです。
しかし、自己管理さえしっかり整えれば、このようなボラ団体を通じての素人参加が可能です。

そう判断し、写真を撮るのは不謹慎とも思いましたが、記録し伝えさせて頂きます。

Yさんも
「まだまだ復旧まで時間が掛かる、それが時と共に忘れられてしまうのがつらい。その認識を広めるためならどうぞ載せてください。」
と仰っておりました。

今後は壁を壊し、湿気で柱が痛むため、濡れて乾燥が不可能になった壁断熱材の交換を進めていくそうです。


まだまだ復旧は続いていきます。



*もし参加される方へ
カッパ・着替え・肘までのゴム手袋は必須です。
また現場状況次第ですが今回は、懐中電灯・ヘッドライト・大きいカッターナイフがあればと感じました。
何かまた気付いたら追記します。



追記
4/17に参加されたグループと合同で4/24に事後報告会。その中で気付いた点として。


班ごとでかなり状況は違っていたようです。

振り分け後の移動に時間が掛かったり、お宅の希望が実は素人手には難しく、結果別宅に移動して更にまた移動したりと、作業効率としては上手く機能しなかったようです。
参加した以上せっかくなら奮起したい気持ちが生かし切れなかったのは残念かもしれませんが、もちろん結果ゼロというわけではありません。
日本各地から様々な人が集まって来てるので、現時点の体制では連携の歯車が噛み合いきれてない事もあるのかと思います。
今後回数を重ねることで解消されていくと願います。

装備はカッパが良かったり、汗で不具合だったり。長靴が良かったり、逆に安全靴が良かったり。と状況に応じて違う場合があるので、重装備しすぎても無駄ではないですね。
泥飛散や粉塵対策として、ゴーグル・目薬・うがい薬も必須です。

ひとつミスだったのが、万が一の為の避難経路・避難場所を確認しなかったこと。
全国からボラが来ているので、現地の地理に詳しくありません。
作業に夢中で忘れてしまいましたが、地図と照らし合わせて家主さんなど現場管理者に確認をしたほうが良いでしょう。
by takehiro-ito | 2011-04-21 02:58


伊藤丈浩の展示会アーカイブ


by takehiro-ito

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

ブログパーツ

カテゴリ

全体
個展
企画展
催事
webマガジン
掲載誌

以前の記事

2023年 06月
2023年 04月
2022年 12月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 04月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 02月
2019年 12月
2019年 09月
2019年 05月
2019年 03月
2018年 11月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 04月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 06月
2015年 05月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 02月
2013年 11月
2013年 09月
2013年 06月
2013年 03月
2012年 10月
2012年 04月
2012年 02月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 07月
2010年 05月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 04月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 08月
2008年 05月
2008年 03月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 07月

リンク

検索

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

陶芸
住まいとくらし

画像一覧